鹿狼山登山道整備教室開催!

11月29日、「鹿狼山登山道整備教室」が開催されました。定員10名のところ、30名以上の応募があったとのこと。コロナ禍以降の登山ブームが続く中で、ただ登山を楽しむだけではなく、そのフィールドの保全などに興味がある登山者が増えているということでしょう。

まずはこの日の講師である「みちのくトレイルクラブ」の松川さん、晴山さんからの挨拶と注意事項を受け、それぞれ道具を持って出発。歩きながら、登山道が荒れることを防ぐために設置された水切りや、理想的な勾配などの説明などを受けます。そして中腹のあるポイントでワークショップが始まりました。

登山道が荒れる複数の原因の説明を受けてから、3人ごとのグループに分かれて、この場所の問題点について探ります。環境保全の観点ではどうか、安全性はどうか、ハイカーの原始的体験は阻害されていないか、今までただ歩いていただけの登山道を、違う視点で探る。それは非常に新鮮だったようで、参加者たちの表情は真剣でした。

グループごとに発表をして、またそれについて皆で考える。こうしたワークショップを重ねながら登ることで、登頂する頃には、登山道に関する理解が深まりました。

頂上では主催者が用意した弁当を食べながら参加者同士の交流も。この日の天気は快晴で、白くなり始めた蔵王や吾妻連峰などの山々が、秋の澄んだ空気にくっきりと浮かんでいました。

午後からはいよいよ登山道整備の実践編。整備をする場所まで降りて、その場所の問題点を話し合います。この場所の問題は、石段の高さが高すぎるところがあって歩きづらいことから、登山者が石段の脇を歩いてそこが道になってしまい、自然にインパクトを与えているということが見えてきました。これを解消する方法を参加者全員で話し合い、石段のあるラインを歩きやすくして、登山道が広がらないように登山者をそちらに誘導することが必要ということに決まり、作業を開始しました。

まずは積もった枯葉を掃いて、足が引っかかりそうな木の根などを取り除いていきます。さらに山側の斜面を少し崩し、安息角と言われる崩れづらい角度に整えます。

別班は石段の段差が高いところの手前に、段をもうひとつ作って歩きづらさを解消します。とはいえ、コンクリートなどの工事用資材はありません。材料になるのはこの現場にある倒木や小枝などです。まずは適当な太さの倒木を切り出して運びます。

それを階段の形に置き、木の枝で作った杭で固定。そこに枯れ枝、枯葉を詰め、登山道を整えるために崩した土を盛って踏み固めます。

それぞれの作業を皆で協力し、見る見るうちに階段が出来上がっていきました。あまりの早さに予定の一段ではなく、もう一段作ることができて、講師のふたりも驚いていました。印象的だったのは参加者の笑顔。とにかく楽しそうに作業していて、なぜ楽しいのかと聞いても「わからないけど楽しい!」という答えも。最後は整備した道をみんなで歩き、記念写真を撮って下山しました。

下山後に参加者たちに感想を聞くと、普段歩いている登山道に関する知識が増えた喜びや整備を終えた充実感、そして鹿狼山に愛着が生まれたことなどを話してくれました。

近年、登山者は増加の一途を辿っています。登山者が増えれば登山道へのインパクトが大きくなり、整備が必要になるのは当然のこと。しかし、今までその山の登山道を整備していた人たちが高齢化でできなくなってしまったり、行政が主体で行う整備に限界があったりと、各地で問題が指摘されています。もし、多くの登山者が、自分が慣れ親しんだ山の整備に一年に一度でも参加することができたら、その状況は大きく変わるでしょう。「自分たちが楽しむ山は自分たちで守る」今回の鹿狼山登山道整備教室は、それを示す素晴らしい教室だったと言えます。

山岳ライター・佐藤敏博